こんにちは、永山です。この記事は「全面リフォームを考えてるけど、お金が足りるか心配」という方に向けて書いていきます。

具体的には「全面リフォームを検討してるけど、予算がないので何を妥協すべきか悩んでいる」という声を聞くことが多いので、今から僕の考えを伝えようと思います。

僕はこれまでリフォーム業を12年経験した中で、800人以上のお客さんに出会ってきました。ですが先祖から代々土地を継いできた地主のご老人を除けば、ほぼ全ての人が「お金の不安」を感じていました。

お客さんとリフォームの打ち合わせをしてると、

  • 大体でいいから金額って今わかるかな?永山さんの感覚でいいよ
  • これだけ間取りを変えたら500万くらいはするよね?

とリフォームの内容よりお金の問題を気にしてる人は多いです。

ただそういった質問をする人は十中八九、

「〇〇万円あれば、リフォームできると思ってた・・」

と予想の金額を超えてしまったせいか、肩が外れるぐらい落胆してしまいます。それでもリフォームの内容や商品のグレードを抑えるなど、何か妥協して予算を抑えれる人はまだマシです。

ですが「200万あれば綺麗になるよ!」と不動産屋に教えられ、床を歩けばミシミシと嫌な耳障りのする築38年のマンションを購入し、いざ工務店に見積もりすると「最低でも500万はかかる」と言われたときには目の前が真っ暗になります。

近くのコンビニでトイレを借りときに「財布を置き忘れてしまった」ぐらいの悲壮感。たとえ目の前にミシュラン5つ星のフレンチ料理を出されても「せっかくだし、キャビアの味覚を楽しもっかな!」なんて気には到底なれません。

実は「予想してたより、見積もり金額が高かった」となるのは業界の事情を知っていれば当然の話。というも巷にある「リフォームの情報と現実はすでに大きく乖離している」からです。

まずは、そのメカニズムとリフォーム業界の事情を少しお話しします。




予想より金額が高くなる事情と人間心理

前提として、リフォームはお客さんの数だけ家の間取りや工事内容が違うので、見積もり金額も変わります。例えば「42型のテレビが39,800円」なんて固定された金額はありえません。

なので、インターネットやチラシ、テレビや雑誌で普段見るリフォームの金額は、100%正しい訳ではなく「できない金額ではないけど、最低限の工事内容で抑えないと難しいよね」というケースがほとんどです。

これは情報を発信してる側の都合を考えるとわかります。「全面リフォームだと1000万円かかる人が多いですね」と言われるより、「500万円から全面リフォームできますよ!」と言われるのでは聞き手のモチベーションが違います。

なのでビジネスを仕掛ける側は「嘘ではない最低限の金額」を伝えるほうが都合が良い。あとはお客さんが来て「打ち合わせ」をしてたら自然と金額がアップします。例えば結婚式をするのに最初は180万円だったのが、机に飾る花を増やして、乾杯のシャンパンを入れて、メインの料理を鶏肉から牛肉のフィレに変えたら、いつの間にか260万円になってた、なんてことはよく聞く話です。

他にも軽自動車を購入するなら100万円あれば新車でも買えると思ってたのに、カーナビをつけて鍵をオートロックに変えて、車の色が白かグレーか黒かぐらいしか選べないので、一個グレードをあげたら160万円になりました。とかですね。

リフォームも同じで、チラシに掲載されてるキッチンやお風呂の格安商品はメーカーのショールームに展示もされてないので、実物を見ようとショールームに行った時点で高級グレードに目を奪われ見積もり金額がアップ!というのはよくある出来事です。

こんな話をすると「まぁ、おいしい話なんてないよね。予算は多目に見ておこう」と思うのですが「自分のことだと都合よく情報を解釈してしまう」のが人間です。

これを心理用語でいうと「確証バイアス」と言われたりもします。確証バイアスは「自分に都合のいい情報ばかりを集め、逆に反対の情報を無視して認識しない」という選択を無意識にとります。

永山
永山
情報の偏り、先入観といった「認知バイアス」の一種ですね

例えば、どうしても行きたい中華料理店があるします。その中華料理屋は餃子が有名で、皮が弾けるぐらい一杯に具が詰まってて、お昼のグルメ番組でも良く取り上げられています。

「先月は家族旅行など予定が多かったので、明日のランチには絶対に行きたい。」念のためにお店が空いてるかネットで検索したら、お店の口コミも見つかりました。ほとんどが「あの餃子は一度は食べておいた方が良い!」という5点満点の良い口コミ。でも一部には2点とか1点の悪い口コミもありました。

さて、あなたならその悪い口コミを信じてお店に行くのは止めますか?口コミの内容を吟味して場合によっては行かない、という人もいるかもしれません。ですが大半の人は「絶対に餃子食べに行く!」という気持ちが強ければ、悪い口コミがあっても簡単にスルーしてしまいます。

なので、人間には情報を都合よく解釈する性質があると考えると「リフォームの見積もりをしたら、予算がオーバーした!」というのは当然のこと。「できるだけ安くしたい!」という考えがあれば、確証バイアスが働き、激安のチラシやお得情報を無意識に鵜呑みにするからです。

この前提を理解した上で、いよいよ本題に入ります。

「予算がないので何を妥協すべきか悩んでいる」に対する僕の回答

「全面リフォームを検討してるけど、予算がないので何を妥協すべきか悩んでいる」という人に僕は、

妥協するぐらいならリフォームしないほうが良い

と伝えます。まず大前提として、リフォームは目的を叶えるための「手段」です。例えば、

  • 夫婦で夕食後にお酒を楽しんだり、ソファに横になり映画を観たりして、夫婦2人の時間を持ちたいからリビングを広げたい
  • 仲の良い友達が子供を連れて来ることが多いので、部屋を存分に走り回って喜んでもらえるよう、客間の荷物をスッキリさせるために収納が欲しい

といった「確固となる目的」が先にあり、その手段としてリフォームがあります。なので妥協して目的が果たせないリフォームなら、その工事には意味がありません。

ですが、実際にはそもそもの「目的が明確になってない人」が多いです。

ただ単に「家が古くなったし、そろそろリフォームしようかな~?」だと、食洗機があれば家事が楽になりますよ、とか浴室乾燥機があれば雨の日に服も干せるので便利ですよ、とセールスされたら「あ~欲しい!!」と欲望のまま流されてしまいます。結果として「見積もり金額が2倍になった」となっても不思議ではありません。

永山
永山
目的が曖昧だと、リフォームの内容も決まりません

では、どうしたら良いのか?

重要なのは、リフォームを計画する前に「価値観を明確にする」というステップです。価値観を明確にするとは「自分が一番大事なもの」を正確に理解すること。

優先すべき大事なものがわかれば、営業マンのセールストークに流されないし、目的よりお金を優先してリフォームを妥協する、なんて間違った判断をしないで済みます。ですが「自分が何をしたいのか?」とあらためて考えても、自分が何を考えてるのか意外とわかならかったりまします。なので、

  • 自分の内面を整理する
  • 自分以外の外側を観察して見つける

という「2方向からのアプローチ」で考えるのがお薦めです。複数の視点があると、最初は予想もしてなかった潜在的な欲求に気づけたりもします。

詳しくは、こちらの記事でお話ししてるので参考にしてください。

リフォームで失敗するパターンとは?800件以上の工事を経験した結果

現実としてお金が足りない問題

でも永山さん、予算がオーバーしてもリフォームを妥協してはいけない。だけど実際お金がないのにどうしたら良いの?

という疑問も当然生まれてきます。

現実問題としては、お金がなければ貯金をしてお金を増やすか、銀行からお金を借りるなど「お金の工面」が必要です。

「5年後にリフォームできたら大丈夫!」と工事を急いでないなら、少しづつ毎月貯金をするのも良いですが、僕なら低金利でローンを組める場合は躊躇なくお金を借りてリフォームをします。ローン、借金という言葉を聞くとネガティブな印象をうけますが、「時間を買える」という利点があります。

例えば500万円貯めるのに、毎月5万円貯金すると考えたら8年と3ヵ月かかります。その8年3ヵ月の時間を買えると考えたらローンを使わない手はありません。そもそも「低金利ローン」というのは銀行から信用がなければ組めません。

  • 毎月安定した収入があり真面目に定職についている
  • 家や車のローンを今まで滞りなく支払っている

といった条件がないと、審査が厳しい銀行だとお金を貸してはくれません。逆にいうと、銀行がお金を貸してくれるのは「お金を返せるだけの条件が整っている」ということ。しかも車のローンだと金利4%ぐらいしますが、リフォームローンだと1~2%と条件が良いです。

綺麗でオシャレな家に住みたい!といった贅沢なリフォームでなく、夫婦で余生を楽しく過ごす、家族が安心して暮らせる家にしたい。子供の成長を考えて勉強部屋をつくりたい、夫が仕事に集中できる環境として書斎がほしい。そういった目的があるのなら「お金より時間を優先すべき」だと僕は思います。

もちろん貯金をするか、お金を借りるかは手段だけの話なので「目的が達成できる」なら、どちらでも問題はありません。

最後に「渋沢栄一」という実業家の言葉をのせておきます。渋沢栄一氏は「日本資本主義の父」といわれ、みずほ銀行や東京ガスなど約500の会社設立に関わった人物です。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/渋沢栄一

名医が手術の時に使って患者の命を救った「メス」も、使い方を間違えると人を傷つける道具になる。これと同じように我々はお金を大切にし、正しいことに使うよう心がけなければならない。

メスに例えて、お金のことを話してくれています。ここで大事なのは「正しいことに使うよう」という「お金=使う」、という前提での言葉です。お金は「貯める」という機能もありますが、「使うことが第一の目的」です。

そして「正しいこと」というのは「使う人の価値観」によって変わります。なので価値観が明確になれば、お金も正しく使うことができるし、逆にいうと価値観が明確でなければ、お金を正しく使うこともできません。

リフォームにお金を使うなら、まずは「価値観を明確にする」のを僕はお薦めします。

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ちなみに、見積もりして「はい、お願いします」ではダメで、こっちの予算に合わせてもらう工夫が必要なんですよ。この前提を間違っている人が意外と多いです。

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リフォームで失敗するパターンとは?

「家が綺麗になって快適、リフォームして良かった!」という声はよく耳にしますが、リフォームで失敗した理由を分析した、という記事が少なかったので書いてみました。

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